トヨタ株主総会、自動運転車開発など「未来への挑戦」強調 |
[ ITS/CASE&MaaS トヨタ 自動運転 ] 2017年6月15日 |
6月14日、トヨタ本社で行われた平成28年度(第113回 )定時株主総会において、豊田社長他関連役員は事業報告及び株主からの質問に答えるかたちで、自動運転等のイノベーションに対して、積極的に取り組むことを表明した。
豊田社長は、
同社は元々80年前に「自働織機」から「自動車産業」に進出した「ベンチャー企業」であり、GMが1936年から70 年間自動車業界のトップに君臨してきたが、その当初にはトヨタは存在していない。このように現在は「小さな会社」が、将来トップ企業になっている可能性もあり、彼らに負けない「競争力」を磨くため、未来への挑戦として「R&D,知能化 異業種連携」を含めあらゆる手を打つと「危機感」を述べた。また、ナレーションの中で「お客様の移動=モビリティの要求に答える」企業になると表明した。
続いて、先端・先進技術開発担当の伊勢専務役員、コネクテッドカー担当の友山専務役員、未来創生センター担当の加藤取締役、財務担当の永田副社長がそれぞれの担当分野の立場からTOYOTA Safety Senseの全車展開、,コネクテッドカンパニーのコンセプトなどの取り組み状況を説明した。
最近、自動車の価値を「移動価値」、「体感価値」、「所有価値」に分離・整理する考えが提起され、モータリゼーションの成熟した社会では、今後「体感価値=運転の楽しさ」「所有価値=社会的ステイタス」が相対的に低下し、自動車産業に大きなインパクトを与えることが予想されている。
トヨタは、対外的スタンスとして今まで「運転の楽しさ」を強調し、「自動運転」に関しては「安全運転支援システム」に限定し、IT産業や競合他社に比較して「慎重な姿勢」を堅持してきた。これが積極的な姿勢に転換することも意味する。
もちろん、今後の一連の「未来への挑戦」は、「より良いくるまクルマ作り」とリーマンショック時のような事態にも対応できる「強靭な財務体質」の基盤の上に成り立ち「守りと攻め」のバランスの中で、従来より「攻め」に若干軸足を置くということであろう。
さらに、豊田社長は、これからの「思考と行動」について、最近読んだ本を引用してリーダーシップのあり方として「根回しでなくこの指止まれ」「微調整改善でなく建設的破壊」行動指針は「スピードと前例無視」の3点を挙げたが、これはトヨタだけでなく日本企業共通の弱点であり、遂行のためには、「リーダズ」による企業文化の変革と同氏も強調した人材育成が重要となる。