JARIが 自動運転評価拠点を公開 |
[ ITS/CASE&MaaS 自動運転 ] 2017年3月29日 |
一般財団法人日本自動車研究所(以下JARI)は3月28日(火)、自動運転評価拠点をメディ ア向けに公開をした。
JARI では、実際の交通環境で起きうる様々な状況を試験環境として再現できるテストコースとして、
経済産業省の「自動運転評価拠点整備」の22.5億円の補助金を基に自動運転評価拠点=J-TOWNをを整備し、4月1 日より 運用を開始する。
冒頭挨拶に立った永井JARI所長は施設目的は市街地走行における①基本性能の評価、②悪交通環境下での評価であるとした。
また、中立的な機関として「自動運転」に関する先行開発や人材開発を促進し、標準化のの拠点となることを目指したいと述べた。
評価設備は実際の交通環境を摸擬できる下記の三つの試験エリアから構成されている。
① 特異環境試験場(試験エリア)
雨、霧、日照といった実際の交通環境で想定される特異な走 行状況を屋内で再現して、車両の周辺環境認識などの性能を評価する。
降雨設備では、「強い雨」「激しい雨」「非常に激しい雨」を、それぞれ30㎜/h、50㎜/h、80 ㎜/h の三段階の雨量で再現することできる。
霧発生設備は、10μm以下の粒径の霧を連続1時間以上発生させることができる。また、視程(見 える距離)としては15mから80mまでの調節をすることが可能。
日照試験設備は、太陽を模擬したライトを設置し、西日などの逆光を再現することができる。
② V2X 市街地エリアは、連続した交差点や視界を阻害する構造物が存在する複雑な交通状況を想 定し、自律での走行、あるいは新交通管理システム UTMS を活用した各種システムの衝突回 避性能などを評価することを目的とした試験エリアである。
③ 多目的市街地エリアは、実際の交通環境において想定される様々な交差点形状やラウンドアバウ トを構築し、車両の車線維持性能、他の交通参加者を認識する性能、路上の障害物を回避する性 能を評価することを目的とした試験エリア。
このエリアには、100m四方のアスファルト上に白線の移設が自由に行えるため、目的に合った 様々な交差点を再現することができる。
また、V2X 市街地エリアと同様に、コンテナの仮装 建屋、遮蔽板等の目隠しといった必要機材を組み合わせて設置することで、より複雑な交通環境 を再現して試験することも可能。さらに、この多目的市街地エリアでは、デジタルマップと 連携することで実際のマップ情報と相違している条件での研究実験を行うことができる。
会場での主なQ&A
①(特異環境試験場)において想定している気候(月)、緯度は?
→時期は3~5月頃、緯度は特に意識していない。
②700Mhz帯以外の電波の利用可能性
→センサーは準備してあるので利用者が送信機を持ち込めば評価可能である。
③自動運転レベル3に於ける「手動運転」への移行のケースも想定しているか。
→「手動運転」への移行のケースについては、各メーカーが独自でやっている。只、実車ではないが、JARIが開発した「全方位視野ドライビングシミュレータ」や拡張現実(Augmented Reality:AR)技術を導入した「JARI-ARV」は、有効であると考えられる。
④現状での利用申し込み状況
→既に申し込みが来ている
⑤各国との連携について
→米国のM-TOWNはIT産業と自動車産業の運転支援システムの評価と言う色彩が強い。欧州(独やスエーデンの「AstaZero」)の施設はISO化やアセスメントと言う面が強い。JARIとしてはこれらと連携していきたい。当面はユースケースに関する情報交換から始めることになろう。