ITS ジャパンン2012年度総会 |
[ ITS/CASE&MaaS ] 2012年6月15日 |
ジャパンンの2012年度の総会が6月4日(月)経団連会館で開催された。今年度の重点実施事項は、2011-2015年の新中期計画に基づき
1.エネルギー供給の革新に対応した交通システム
2.次世代協調型運転システム
3.情報共有社会の交通システム
4.地域と連携したITSシステム
の検討である。具体的には、
1.はパーソナルモビリティなど次世代モビリティネットワークシステムに関する検討で2020年ごろに実現したい交通システムのコンセプトの策定を目指している
2.は次世協調型運転支援システムについて11年に行った実証実験の評価と実現に向けた課題への対応を検討
3.は交通関連情報基盤につき災害時/平常時双方を想定した情報システム検討と次世代物流
4.はモデル都市を中心とした都市創生につきモデル都市での先行導入と他都市への水平展開を目指す。
ITSジャパンの役割は、政策提言、諸活動のサポートであるから、自ら事業主体とはなりえないが、取り上げたテーマは何れも重要課題で、この分野の産官学の主要な団体・学識経験者が全て参加している組織であるからその役割と期待は大きい。
総会後の懇親会では、来年度の2013年に東京で開催予定の世界会議の関係もあり、出席者も多く盛り上がった。特に、与野党合同で「2013年世界会議を成功させる議員連盟」が発足しITS議員連盟会長として長年活動を支援した綿貫元衆議院議長や多数の議員も参加していた。また政府を代表して古川国家戦略担当大臣が挨拶するなど積極性を印象付けた。
来年の世界会議は、2004年の名古屋会議以来10年ぶりに日本で行われる世界会議である。
その後の情報通信技術の飛躍的な発展と、運輸・交通分野での省エネ、環境、安全等の課題解決が強く叫ばれている中で、我が国の2004年以降の取組成果と今後の方向を具体的に示す絶好の機会となる。上述の今年度の重点実施事項もそのことを示している。
しかし、大会テーマが「Open ITS to the NEXT」と掲げているように、関係者の悩みも垣間見える。2004年も「ITSセカンドステージ」が一つのキャッチフレーズであった。その後長期の不況の中で、緊急経済対策としての施策の他には、「セカンドステージ」の姿は見えない。そこで再度「Open ITS to the NEXT」と訴えているのであろう。現時点ではITS分野では国際的に見て日本が一歩リードしているように見えるが、「市場化」の中で優位を確保する戦略と産官学の協調と競争が重要となる。