日産,ハチの衝突回避を模して動く3輪小型ロボット車 |
[ ITS/CASE&MaaS ] 2008年10月 6日 |
2008/09/30 14:58
日産自動車は,ハチが障害物を回避する動きのアルゴリズムを搭載した3輪小型ロボット車を開発し,「CEATEC JAPAN 2008」にて実演した。このアルゴリズムは,同社のコンセプトカー「ピボ2」のような多方向に移動可能な小型の電気自動車に向けたもの。ピボ2などに適用すれば,運転者が障害物を判断してからでは回避できない場合でも,自動的に回避することが可能になる。「将来,排気ガスの出ない小型の電気自動車がコンビニなどを走行する時代が来る。こうした時代では,人と接触しないシステムが必要となる」(日産自動車)。アルゴリズムは東京大学 教授の神崎亮平氏らとともに,2006年から共同開発として取り組んできた。
小型ロボット車は,前方に駆動用モータを備えた2輪と,後方に駆動機構のない1輪の合計3輪を有する。曲がる際は,前方の左右輪の回転速度の差を利用するため,車輪に舵角を与える機構はない。外形寸法は,高さと幅それぞれ約60cmとなる。ロボットでは,レーザ・レンジファインダーを1個使い,周辺180度の障害物を検知可能とする。
ハチの回避行動に着目したのは,ハチは障害物を判断してから回避行動に移るのではなく,ある一定のパターンに基づいて瞬時に合理的な回避行動に移るためである。3輪小型ロボットでは,あらゆる回避パターンを測定し,テーブル・データの形でメモリに格納する。パターンの測定は,トルク・センサを装着した棒にハチを取り付けることで実験したという。加えて,ハチの障害物との相対速度や大きさの認識では,においや風などではなく複眼による視覚情報を利用しているためロボットに応用しやすいこともある。