トヨタ・豊田市・TTRIの変化-豊田市交通モデル都市づくり⑧ |
[ Editor’s Column Smart City/豊田市動向 自動運転 ] 2022年1月 9日 |
3.豊田とトヨタの関係の変化―「まち一番」―
TTRIは、トヨタトップの強い問題意識からスタートしたといっても過言ではないだろう。
構成は、理事長:豊田市長、副理事長兼所長:交通工学専門の大学教授、専務理事:トヨタ、プロパーの研究部長、豊田市からの事務局長、となっている。その構成は発足当初と変わらない。
しかし、実質的な運営の主体・重心はトヨタから豊田市に移動してきていると言える。
それは、出捐額の差とは一概に言えない。上記1で述べた「トヨタの変化」と、TTRIの組織体制の強化等によると考えられる。
一方、トヨタは2017年4月のグローバル会社方針説明会で、「お世話になっている町で、いちばん信頼され、いちばん愛される『町いちばん』の会社を目指す」とした。
トヨタは、豊田市の言うまでもなく「まち一番」であり、両者の関係は、他都市におけるトヨタと都市との結びつきとは比べ物にならない。
TTRIの創立25周年シンポジュームの基調講演で、友山副社長(当時)は「豊田市は交通に関するHAMOのような各種実証の『マザー都市』である」と述べたが、トヨタの見る地平線は従来以上にグローバルである。静岡県裾野市における新しいモビリティ都市実験「Woven City」プロジェクトを見ても明らかである。
豊田市もSDGsや脱炭素という社会的課題を含めたまちづくりに挑戦し、国際会議を主催している。
一方、2005年7月に設置した「交通まちづくり推進協議会」は昨年3月にその幕を閉じ、その理念は「豊田市つながる社会実証推進協議会」に引き継がれることになった。
◆時代とともに社会、課題、人、組織は変化する。
TTRIのステークホルダーである豊田とトヨタを取り巻く環境は激変している。「スマートシティを目指す豊田」と「モビリティ産業を目指すトヨタ」との関係も変化している。トヨタの歴代社長と現社長の豊田市への思い、歴代市長と現市長の交通問題への思いは異なる。
大学や研究機関は教育など本来機能に加え、地域開発、スタートアップ育成そのため多角的な連携などを重視し変化している。「豊田ならでは研究を掲げ『豊田市の交通関連シンクタンク』」を目指すTTRIが、今後どのような経営をするのか注目したい。