トヨタ・豊田市・TTRIの変化-豊田市交通モデル都市づくり⑧ |
[ Editor’s Column Smart City/豊田市動向 自動運転 ] 2022年1月 9日 |
2.トヨタの変化
トヨタが豊田市の交通問題に取り組んできた経緯は、交通環境対策の一環としての色彩が強い。
自動車交通環境問題は、昭和40年代初頭 自動車の普及とともに、交通事故、渋滞、大気汚染、が社会問題化した。
同社は、交通環境委員会という役員会議を立ち上げ、事務局は広報部交通環境課が担った。自動車交通の割合が高い豊田市の交通環境は、深刻で、交通事故は愛知県下でワースト1を継続。そのため、まずトヨタの企業都市である豊田市を「交通モデル都市」にしたいという「願望」があった。
先に紹介した「豊田市交通問題研究会」の発足にあたり、活動資金を寄付したのもこのような背景があった。
経緯を少し詳しく記述する。「豊田市交通問題研究会」は財団法人「豊田都市交通研究所」となった。基金は当初、豊田市、トヨタがほぼ同額出資の30億円を想定したが、トヨタは当初5億円としたため20.7億円の基金でスタートした。
その後 1997年にはトヨタより基金8.7億円増、1998年に30億円(豊田市15億円、トヨタ14億円、損保会社4社1億円が基本財産ととなり現在に至っている。
また、交通環境委員会及び交通環境課業務は、広報部や渉外部、社会貢献部、コネクテッド統括部等に移管されているが、交通環境対策や交通政策について専門的に検討する組織は存在しない。また、トヨタのTTRI事務局は総務部となり地域対策の一環としての組織の意味合いが強くなっている。
一方、トヨタは、2014年、一般財団法人トヨタモビリティ基金(TMF)を設立、日本のみならず、海外のモビリティ関係プロジェクトを助成している。
TMFの豊田市関連の助成では、名大 森川研が推進している「山村地域等におけるモビリティ向上、高齢者が健やかで楽しい暮らしを続けられる地域づくり」プロジェクト、2021年の豊田市の「ジコゼロ大作戦」がある。
「ジコゼロ大作戦」には豊田市、トヨタ、TTRIとともに、「豊田市つながる社会実証推進協議会」が参加している。