Teslaの取り組みと評価/課題② |
[ Editor’s Column ITS/CASE&MaaS 特集記事 自動運転 ] 2021年10月19日 |
● 課題:米NHTSAが安全性、リコール制度抵触について問題視
◎自動運転支援システム
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は8月16日、停車中の緊急車両に衝突する事故が複数起きたことを受け、テスラの自動運転支援システム「オートパイロット」の公式調査を始めたと(ウェブサイトで)発表した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-16/QXXN88DWX2Q301
Teslaに対し8月31日付で質問状を送付、回答期限は10月22日に設定した。
NHTSAは、米ゼネラル・モーターズ、トヨタ自動車、米フォード・モーター、独フォルクスワーゲンなど12社に質問状を送付。「特定の状況下でステアリングとブレーキ/加速を同時に制御する機能を備えた(他メーカーの)量産車」と「比較分析」を行うため。
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/bizskills/reuters-20210915038.html
◎OTAによるソフト変更に関し説明要求
米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求
https://jp.techcrunch.com/2021/10/14/2021-10-13-us-regulator-targets-tesla-on-ndas-over-the-air-software-updates/
米国道路交通安全局(NHTSA)が、同国の電気自動車メーカーであるTesla宛に2通の書簡を送った。
▼10月12日付の1通目の書簡では、
テスラが先進運転支援システム「Autopilot」で、低照度下における緊急車両の検知方法をソフトウェアアップデートで修正した際に、リコールを届け出なかった理由を説明するよう求めている。
NHTSAの見解では、車両の安全性に関わる部分を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用する場合は、リコールを届け出る必要があるとしている。
▼同じく10月12日付の2通目の書簡では、
テスラがいわゆるFSD(Full Self Driving)のベータ版早期アクセスプログラムに、秘密保持契約を用いていることに言及したものだ。FSDの購入者はすでに料金を支払っているが、テスラはオーナーがベータ版ソフトウェアにアクセスするさい、秘密保持契約を結ぶことを要求している。
「NHTSAは、潜在的な安全上の欠陥を評価するための重要な情報源として、消費者からの報告に依存している。そのため、ベータ版早期アクセスプログラムの参加者が、NHTSAに安全上の懸念を報告することを妨げたり、思いとどまらせたりするような合意は容認できない」と、同局は書簡に記している。
「さらに、特定の情報を公開することを制限する行為は、NHTSAの安全性に関連する情報を取得する能力に悪影響を与える。FSDのベータ版早期アクセスにともなう秘密保持契約が、NHTSAの監督責任の遂行を妨げないことを保証するため、当局はテスラに対して添付の特別命令を発行する」。
NHTSAはTesla EVの「肝」ともいえる「自動運転システム」「OTA」について、書簡で質問状を送付し調査を開始した件は今後の動向を注目する必要がある。
大変古い事案であるが、1995年消費者問題運動家のラルフネーダーがGMの新車「シボレーコルベア」に欠陥がると自身の著作で明らかにし社会問題になった件を思い出す。
当時GMはクルマの新技術を次々開発導入していたが、「コルベア」の件に関しては結果的に同社の社長が議会で謝罪し、コルベアは生産中止に追い込まれた。
また、FTDの秘密保持契約の件は「リコール制度の根幹」に係わる恐れがある。
なお、マスク氏は、Twitterで、テスラが秘密保持契約の要求を取り下げることを示唆しているとしたという報道もある。