【ITS AP Forum 福岡】Russell Shields氏、V2XでDSRCに否定的見解 |
[ Editor’s Column ITS/CASE&MaaS ITS海外情報 ] 2018年5月16日 |
「第16回アジア太平洋地域ITSフォーラム2018福岡」(5月8日(火)~10日(木))
のPL1(Plenary Sessions)で米Y gomi LLC社のRussell Shields会長が登壇した。
同氏は2010年のITS世界会議で第1回個人表彰を受賞するなど、業界で有名である。現在もその発言の影響力は大きい。SIPのシンポジュウムなどに度々来日、スピーチしている。
過去にはSIPやITS世界会議で、「『3次元地図』は都市内での自動運転の要素技術としては、非現実的」と発言するなど思い切った主張をしており、本ブログでも紹介している。
一般的な発言が多いPLの中で今回も同氏の発言は、特異である。 タイトルは「Secure Connectivity for Future Mobility」(将来のつながる移動のセキュリティ)、冒頭「実務的内容であり、かつあくまでも個人的な見解である」と断ったうえで、V2Xにおける通信プロトコルとセキュリティの2点について述べた。
▼概要は以下の通り。
1. DSRC((Dedicated Short Range Communications狭域通信)は、通信安全の概念であるが、通信手順とは言えない。欧米ではV2X通信の手順(bearer protocol)について、無線LANの規格であるIEEE 802.11Pと携帯網を使うC-V2Vのどちらが適しているか合意に達していない。
802.11pは、もともと1998年にテスト用として考えられ長年検討されてきた。C-V2V(Cellular Vehicle-to-Everything)に比較し高コストで通信範囲が狭いなどパフォーマンスも低い。DSRCは長らく少数の技術者により検討が行われてきたが、彼らは上司に(DSRCが優れていると)「嘘」を言ってきたのだ。 5G Americaでは、C-V2XのDSRCに対する長所を紹介している。 携帯事業者の団体であるGSMAは、2017年、EUに対しC-ITSに関し技術的中立を保持することを要請している。
2. 高度自動運転(HAD)にとってセキュリティは、重要課題である。 セキュリティ対策は、その都度"追加していく"のではなくV2X,V内部など総合的なアセスメントが必要である。
国連の"サイバーセキュリティとOTA"に関するタスクフォースでは、日本のMLIT(国土交通省)が共同議長を務めている。国連のITUでも取り上げており、2018年9月には南京で会議が開催される。
▼日本ではV2Xのプロトコルについて長年5.8G帯のDSRCが主流と考えられて来たが、携帯電話の技術進歩によりC-V2Vの評価が高まっている。 (例: Toyota places its bets on DSRC http://analysis.tu-auto.com/telematics/weekly-brief-toyota-places-its-bets-dsrc?NL=TU-001&Issue=TU-001_20180423_TU-001_763&sfvc4enews=42&cl=article_1_b)
・欧州と中国ではC-V2Xを主流に考えている。
・2017年9月にはクアルコム(Qualcomm)が初の3GPP Release 14に準拠したC-V2Xチップセット「Qualcomm 9150 C-V2X Chipset」を発表した。
・ファーウェイ(Huawei)は今年2月のMWC 2018でC-V2X向け車載モジュールを出展。いよいよ商用化に向けた本格展開が始まりつつある。
・米国では、クアルコム、ノキア、フォード、AT&T、政府が連携して、クルマと信号機のV2I通信に関する実証実験を行っている。
・今年1月のCES2018では、Continental、エリクソン、日産自動車、NTTドコモ、沖電気、Qualcommの6社が、LTEや5Gなどの携帯電話回線を利用するC-V2Xの実証実験を、日本で初めて行なうと、発表した。
以上のように、Russell Shields氏の発言は、今後のV2X protocolに関し、有力な流れを示唆しているものと思われる。
同氏は2010年のITS世界会議で第1回個人表彰を受賞するなど、業界で有名である。現在もその発言の影響力は大きい。SIPのシンポジュウムなどに度々来日、スピーチしている。
過去にはSIPやITS世界会議で、「『3次元地図』は都市内での自動運転の要素技術としては、非現実的」と発言するなど思い切った主張をしており、本ブログでも紹介している。
一般的な発言が多いPLの中で今回も同氏の発言は、特異である。 タイトルは「Secure Connectivity for Future Mobility」(将来のつながる移動のセキュリティ)、冒頭「実務的内容であり、かつあくまでも個人的な見解である」と断ったうえで、V2Xにおける通信プロトコルとセキュリティの2点について述べた。
▼概要は以下の通り。
1. DSRC((Dedicated Short Range Communications狭域通信)は、通信安全の概念であるが、通信手順とは言えない。欧米ではV2X通信の手順(bearer protocol)について、無線LANの規格であるIEEE 802.11Pと携帯網を使うC-V2Vのどちらが適しているか合意に達していない。
802.11pは、もともと1998年にテスト用として考えられ長年検討されてきた。C-V2V(Cellular Vehicle-to-Everything)に比較し高コストで通信範囲が狭いなどパフォーマンスも低い。DSRCは長らく少数の技術者により検討が行われてきたが、彼らは上司に(DSRCが優れていると)「嘘」を言ってきたのだ。 5G Americaでは、C-V2XのDSRCに対する長所を紹介している。 携帯事業者の団体であるGSMAは、2017年、EUに対しC-ITSに関し技術的中立を保持することを要請している。
2. 高度自動運転(HAD)にとってセキュリティは、重要課題である。 セキュリティ対策は、その都度"追加していく"のではなくV2X,V内部など総合的なアセスメントが必要である。
国連の"サイバーセキュリティとOTA"に関するタスクフォースでは、日本のMLIT(国土交通省)が共同議長を務めている。国連のITUでも取り上げており、2018年9月には南京で会議が開催される。
▼日本ではV2Xのプロトコルについて長年5.8G帯のDSRCが主流と考えられて来たが、携帯電話の技術進歩によりC-V2Vの評価が高まっている。 (例: Toyota places its bets on DSRC http://analysis.tu-auto.com/telematics/weekly-brief-toyota-places-its-bets-dsrc?NL=TU-001&Issue=TU-001_20180423_TU-001_763&sfvc4enews=42&cl=article_1_b)
・欧州と中国ではC-V2Xを主流に考えている。
・2017年9月にはクアルコム(Qualcomm)が初の3GPP Release 14に準拠したC-V2Xチップセット「Qualcomm 9150 C-V2X Chipset」を発表した。
・ファーウェイ(Huawei)は今年2月のMWC 2018でC-V2X向け車載モジュールを出展。いよいよ商用化に向けた本格展開が始まりつつある。
・米国では、クアルコム、ノキア、フォード、AT&T、政府が連携して、クルマと信号機のV2I通信に関する実証実験を行っている。
・今年1月のCES2018では、Continental、エリクソン、日産自動車、NTTドコモ、沖電気、Qualcommの6社が、LTEや5Gなどの携帯電話回線を利用するC-V2Xの実証実験を、日本で初めて行なうと、発表した。
以上のように、Russell Shields氏の発言は、今後のV2X protocolに関し、有力な流れを示唆しているものと思われる。