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クルマの型式認証不正問題

[ Editor’s Column ]

国土交通省は6月3日、トヨタ自動車など5社で、車「型式指定」の手続きを巡る認証不正があったと発表した。不正が認められたのは現行生産車で計6車種、生産終了車で計32車種。国交省は4日にトヨタ本社を立ち入り検査を行った。
 ■道路運送車両法関連条項
第七十五条 国土交通大臣は、自動車の安全性の増進及び自動車による公害の防止その他の環境の保全を図るため、申請により、自動車をその型式について指定する。
型式認証仕組み.jpg
認証審査は、独立行政法人自動車技術総合機構(NALTEC)交通安全環境研究所の自動車認証審査部で行われている。審査は主に以下の5項目。(出所:NALTECのWEB記事を加工)NALTECjpg.jpg
  ■ブレーキ、騒音、自動運転関連
   ABS/BAS/ESCを含む制動試験 定常・加速走行などの騒音試験、AEBS、LKAS等のADASの性能試験、自動運転の評価 など走行に関する性能評価
  ■燃費・電力消費・排ガス関連
  原動機・電動機の出力測定、排出される規制物質の排出 量・燃料消費率・電気自動車の電力消費率の測定などの 性能評価
  ■灯火・一般安全関連
  灯火器、視界、車両の外装部品・装置の安全性、電磁両立等の性能評価
  ■衝突安全・歩行者保護関連
   衝突時における乗車人員や歩行者の傷害値等の確認、電動車の電池安全などを評価
  ■サイバーセキュリティ関連
  自動車のサイバーセキュリティ、ソフトウェアアップデートに関する組織能力や車両要件の評価

認証不正については、2016年三菱自動車、2017年日産自動車、2022年日野自動車、2023年ダイハツなどで次次お明らかになり、今回の発表は国交省が5月末までを期限として改めて全OEMーに実態調査を行った結果の速報値である。

過去及び今回調査でほぼ全社が認証申請不正を行っていたことが判明した。
2016年から2023年までの不正と今回の事案は状況が若干異なるようである。しかし、共通していることは、試験方法の改ざんである。また、「開発期間/市場投入の納期の縛り]が要因になっている。。

OEMは、競争上クルマのSDV化、開発リードタイムの短縮に取り組んでおり、認証期間の短縮、作業の属人化を避け標準化を促進することは不正防止の観点からも喫緊の課題である。
認証機関はクルマの自動運転化、サイバーセキュリティなど未知の分野での追加の認証作業が多く、クルマユーザーのためにもさらに期間をかけても慎重に対応することが求められる。
両者は「より良いモノづくり」という視点では共通であるが、立場は異なる。OEM,認証機関が新たな制度設計を行う時期に来ているのではないか。


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