超小型電気自動車の終焉 |
[ CASE Editor’s Column ITS/CASE&MaaS パーソナルモビリティ ] 2024年2月20日 |
トヨタは超小型電気自動車「C+pod」の生産を2024年夏生産終了すると発表した。
「C+pod」は、2020年12月に発売された。
生産終了の理由について、トヨタは「これまで小型モビリティとしてお客様に提供してきましたが、一定の役割が完了したと判断したことから生産終了となります。なお生産終了後もアフターケアなどは継続します」とコメントしている。
■同社の超小型電気自動車開発の歴史は古い。
トヨタは2004年の愛知万博でコンセプトカーi-unit ,2007年 に i-realを発表、2013 年にはジュネーブモーターショーでi-roadを発表した。
i-roadは二人乗りの実証用車両で、前二輪、後一輪のトライク型で、旋回時に車体を傾けるアクティブリーン機構を備えている。
C+podを「軽自動車よりも小さく、免許取り立ての独身若年層や運転に不安を感じる高齢者の方など、日常生活で少人数かつ近距離の移動が多いユーザーの方々に賢く使っていただけるモビリティ」として位置づけていた。
しかし、トヨタのi-シリーズ、C+pod共に、価格や商品性、税制や保険、駐車場や充電環境などの課題があり、普及しなった。
トヨタの子会社トヨタ車体は、2012年7月独自ブランドとしてCOMSを発売、現在もデリバリーカー等として販売している。
■国内外でシェリングも模索・・ブランド名Ha:mo
トヨタはこれらの超小型電気自動車の実用化に向けて、国内外で様々な実証実験を行ってきた。
国内では、1999年から2006年まで、小型電気自動車e-comの共同利用システム「Crayon」の実証実験を本社周辺の豊田市・刈谷市・安城市・大府市・京都市など各地域で実証実験を行った。
i-realは豊田市での共同利用、や中部国際空港で警備や案内業務にを導入したり、首都圏でパーク24と共同で、モニター調査やシェアリングサービスの実証実験を行ったり、OPEN ROAD PROJECTという施策で充電・駐車スポットの発掘やパーツのカスタマイズなどを試行してきた。
さらに2014年から2017年、フランスのグルノーブル市で、COMSとi-ROADのカーシェアリングサービス「Cité lib by Ha:mo」実証実験を行った。
実験は、公共交通機関と連携した新しい移動サービスの可能性を探ること、利用者や地域住民からのフィードバックを収集し、超小型モビリティの改善や普及に役立てることを目的とした。
■産官学も積極的に普及策を検討
国交省、警察庁
超小型電気自動車の制度面での関係官庁である国交省、警察庁も早くから普及に向けての制度検討を行ってきた。
国交省は、例えば2018年から「超小型モビリティの普及促進に関する検討会1を開催し、2019年に報告書を発表した。
警察庁は2020 年「超小型モビリティ・ミニカー検討会」を開催し、自転車の交通ルールや安全対策、利用促進策などについて検討した、
知事連合
2010年、福岡県知事を座長とする全国の有志の知事連合は、「高齢者にやさしい自動車開発推進知事連合」として発足た。この連合は、高齢者が自立し、いきいきと生活できる活力ある地域社会の構築に向けて、高齢者がさっそうと運転する安全な自動車の開発を推進することを目的とした。その中で、超小型モビリティという新しい車両カテゴリーの提案や実証実験の支援を行ってきた。
■4輪車型は市場なし、福祉車両型主というのが現在の評価
トヨタは、既述した通り、超小型モビリティの分野で可能性について業界リーダーとして積極的に取組んできたと言える。
C+Podは従来のIシリーズの弱点であった安全性や居住性を見なおし、限定領域走行の軽自動車として発売したが、冒頭紹介した通り市場は反応しなった。一言で言えば、軽自動車に対して競争力がなかっということに尽きる。軽自動車にADAS機能を追加した方がお得という回答である。
結局、同社ではCシリーズのC+Walksを残すのみとなった。(*)歩道を走行する福祉車両と同じカテゴリーである。
トヨタの掲げるMobility for Allは容易ではない。
(*)トヨタでi-RORDの開発を担当したCEは、愛知県豊田市にLean Mobility社を設立し、i-ROAD進化版の開発を行っている。