自動運転 実験と実装間の壁 |
[ Editor’s Column ] 2023年3月31日 |
自動運転の実現には、環境整備、技術開発、社会的受容性、事業化推進の4項目が重要である。
●レベル4の環境整備/制度設計
①SAEレベル4(無人運行を前提とする自動運転)の特定自動運行の許可制度 創設を内容とする道路交通法一部改正する法律が、令和4年4月、第208回 国会において成立。
令和5年4月1日施行(*)される。(*)独は2021年7月改正
②これに先立つ令和2年4月には、道路運送車両法の保安基準の対象装置に「自動運行装置(*)」の追加が施工されている。
(*)システムが、運転者に代わって「認知」・「予測」・「判断」・「操作」を行う、レベル3・4の自動運転システム(自動運行装置)
両法により制度的に自動運転L4の実装が可能になった。
▼また、政府はレベル4の社会実装について、令和3年6月18日 閣議決定した「成長戦略フォロー」の中で、次のような目標を策定した。
「公道での地域限定型の無人自動運転移動サービスについて、
2021年度(令和3年)中に、実証に資するガイドラインを策定し、2025年(令和7年度)を目途に 40ヵ所以上の地域で、2030年(令和12年度)までに全国 100ヵ所以上で実現する。」
添付図は、経産省の「Road to L4」報告書に掲載されている図に最近の状況を加筆したものである。
●レベル4の車両認可
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」)は、国土交通省中部運輸局に対して、レベル4としての自動運行装置に関する申請を行い、3月30日、認可された。同車両は、産総研と民間事業者(株式会社ソリトンシステムズ、三菱電機株式会社、ヤマハ発動機株式会社)とで組織されたコンソーシアムが、福井県永平寺町において実証実験を行っている車両をベースとしている。(車両名称:ZEN drive Pilot Level 4)(写真出所:経産省)
今回の認可を受けた自動運行装置は、
➀国土交通省が付与した特定条件(電磁誘導線上にあること、悪天候等でないことなど)の範囲内で自動運行を行う。
②最大速度は12km/h。
●実証実験
自動運転の実証実験は各地で行われている。実証は殆どの場合、省庁の所管領域の補助事業として自治体、企業が受託して実施している。
例えば、
①国土交通省は、道路局が道の駅をフィールドとし、
②同自動車局は地方公共交通対策として、
③経産省は産業振興策として、
④内閣府はイノベーション推進として助成している。(続く)