モビリティビジネスモデルと企業文化の壁(追記) |
[ Editor’s Column ] 2019年2月12日 |
◆公共交通機関ではJR東日本、小田急、東急、西鉄等が取り組んでいる。
JR東日本は2016年に策定した「IoT、ビッグデータ、AIなどによってモビリティ革命の実現をめざす」という「技術革新中長期ビジョン」を則っている。
2017年には「モビリティ変革コンソーシアム」を設立した。同コンソーシアムには交通事業者、メーカー、大学や研究機関など現在約130社が参加し、以下の3つのワーキンググループで活動している。
① 出発地から到着地までのシームレスな移動の実現(Door to Door推進)
② 次世代型の街のあり方とそれを支える公共交通の役割の検討(Smart City)
③ 公共交通機関におけるロボット技術の活用
◆以上、IT系スタートアップ、自動車OEM、公共交通機関がそれぞれ事業構築に取り組んでおり、得意領域も異なるため帰趨は読めない。
三者とも強みを持っているが、弱みも明白である。
IT系スタートアップは、従来のビジネスモデルの中に「人命にかかわるビジネス」の経験は少なく「Best Effort]型が得意である。
もちろん、Waymoも十分この事は理解している。下記はWaymo's CTO and VP of engineeringの発言である。
「But I think this is the nature of the problem. There is a huge difference between having a prototype that can do something once or twice or a handful of times versus building a product that people can start using in their daily lives. And it is, especially in this field, when we started, it's very easy to make progress on these kinds of one-off challenges.
But what really makes it hard is an incredible level of performance that you need from your system in order to make it into a product. And that's number one. And number two, is the very long tail of complexity of the types of problems that you encounter. Maybe you don't see them 99% of the time, but you still have to be ready for that 1% or 0.1%」
https://techcrunch.com/2019/02/08/waymo-cto-on-the-companys-past-present-and-what-comes-next/
自動車OEMは、単体売り切りのビジネスモデルであり「サービス事業」や社会インフラ構築の経験や文化が少なく「農耕民族的」産業と言える。
公共交通機関は「許認可事業の既得権」の文化下にあり守り「公共からの補助期待」の姿勢が強い。
以上のようにいずれも容易ではない。ビジネスモデルと言っても"コロンブスの卵"のようなもので全く新しいものではないし「金脈」でないかもしれない。ただ、各主体にとって「壁破壊の絶好の機会」であることも確実である。
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