【トヨタモビリティファンドの地道な活動】 |
[ Editor’s Column トヨタ ] 2018年8月 7日 |
◆2014年8月 「一般財団法人 トヨタ・モビリティ基金(以下TMF)」(理事長 豊田 章男氏)が設立され、4年が経過した。
TMFは、トヨタの事業活動に近いモビリティ分野に特化、「いいクルマづくり」、人々の生活を豊かにする「いい町・いい社会」への取り組み、を結びつける公益性の高い事業と活動を支援する目的で設立された。
運営資金は、同社が保有する自己株式の一部を提供、その株式配当を活動原資としている。2018年3月末現在、一般正味財産は148億円。
▼TMFは設立の趣旨・目的については、次のように紹介している。(財団HPから筆者が要約・編集)
モビリティ、それは移動の自由を指す言葉、人類のDNAに組み込まれた本能です。
私たちはモビリティの力を信じている。私たちが発展していくためには、自由な移動が欠かせません。移動、成長、探求する自由は、夢を実現し、能力を発揮する自由につながります。
この基金を通して、トヨタがクルマづくりで培った技術的知見と環境性能に関するノウハウ、それを支えるリソース、世界中の組織の優れたビジョンや経験とを結びつけたいと考えています。
力を合わせることで、都市部における交通の課題を解決、全ての人のためのパーソナルモビリティを推進、次世代の移動の自由を生み出していきます。
TMFの設立以来の主な活動を公表 資料から作成したのが下の表である。
交通渋滞、公共交通へのアクセス、パークアンドライド、中山間地のモビリティ確保、交通弱者への対策コネクティッド・モビリティなど広く交通の社会的課題への取り組みに助成している。
助成国・エリア別では、タイ、ベトナム、ブラジル、インドなどの新興国、日本の岡山、豊田市の中山間地、などが対象になっている。
テーマは、新興国では、モビリティ格差の解消、自動車産業の健全な発展に資する活動、
先進国では、次世代モビリティ開発などを視野に入れ、社会課題の解決を目指す活動を対象にしている。
交通分野の課題解決を目指した自動車会社の財団活動では、1974年9月に「理想的な交通社会の実現に寄与」を目的に設立され、現在も活発な活動を実施しているホンダの「公益財団法人国際交通安全学会」(会長 竹内和彦氏)がよく知られている。
トヨタは、1968年1月「交通環境委員会」を設置、警視庁へ東京・銀座地区の広域交通制御システムを寄贈、幼児交通安全キャンペーン、交通問題とその改善の方向および各国の改善事例を収録した映画『世界の都市交通3部作』を企画、制作するなどを実施してきた。
TMFは、その発展系とも見て取れる。「モビリティ企業への変身」を求められる車会社にとって、社会への触覚となることが期待される。