ライドシェア 市場を巡る動き―ソフトバンク対トヨタの攻防 |
[ Editor’s Column トヨタ 自動運転 ] 2018年7月13日 |
◆トヨタは、6月13日(水)、東南アジアにおける配車サービス大手Grab Holdings Inc.(Grab社)と、モビリティサービス(MaaS)領域の協業深化に合意するとともに、両社の一層の関係強化のため、Grab社に10億ドル(1,000億円)の出資を決定したと発表した。
▼トヨタのニュースリリースによると、
Grab社は、東南アジア8か国217都市で、個人間のライドシェアおよびタクシー配車サービス、オンデマンド輸送サービスに加え、ドライバー向けレンタカーサービス、などを展開している。本年3月には競合関係にあったUber社の事業譲渡を受け、同地域において圧倒的シェアを持つ。
両社は、すでに2017年8月から、Grab社の保有するドライバー向けレンタカー100台に、トヨタが開発した法人車向け通信端末「TransLog」を搭載し、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報インフラである「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」に収集された走行データを活用、Grab社向けのコネクティッドサービスの開発を進めている。
トヨタはこれを足がかりに、東南アジア全域におけるGrabレンタカーのコネクティッド化、及び、それらの車両からMSPFに収集される車両データを活用した、走行データ連動型自動車保険に加え、現在開発中のGrabドライバー向け金融サービス、メンテナンスサービスなど、各種コネクティッドサービスを東南アジア全域に拡大することを狙う。
◆今回の動きは、ライドシェア分野、自動運転でのIT・情報通信企業と自動車企業の攻防と見て取れる。
以上の関係を簡単に整理したのが(下図)である。
ソフトバンクグループ(SB)及び同社とサウジアラビアのFundを主要出資者とするSoft Bank Vision Fund(SVF)は、シェアリング経済の進展とりわけ「自動車のライドシェア分野」を重点投資分野の一つと位置付けている。
トヨタがこの程出資したGrabについては、すでに2014年から出資を開始し、2017年1月には2.5億ドルの出資を完了。SBも出資している中国のライドシェア大手DIDI滴滴出行もGrabに対して3.5億ドルの出資を行っている。
SVFはライドシェアで先駆的な役割を果たしてきた米Uberに対して、投資を重ね、その額は93億ドルに達し、同社の筆頭株主になっている。
この米国でライドシェア分野で第2の位置にあるLift社に対して、GMが2016年1月に5億ドル出資している。また、2017年10月にはGoogleが同社に対し10ドル出資した。Uberと自動運転の知財や幹部引き抜きで対立したGoogleが第2位のLiftと接近していることを示している。
一方、6月31日、SVFがGM自動運転車子会社GMクルーズホールディングスに22億5,000万ドル(約2450億円)を投資することが明らかになった。(GMは2年前、クルーズを10億ドル相当で買収している)。
これを見ると、自動車、IT業界がライドシェアさらには自動運転という分野で激しい陣取り合戦を行っていることが解る。
◆6月に開催されたトヨタとSBの総会を覗いた(SBはWEB)。
席上、豊田社長は、「モビリティ産業」への変身を掲げたが、あくまでも原点は同社がモノづくりで培った強みである原価低減とTPS(Toyota Prodution System)であることを強調。
一方、孫社長は、自分の時間配分として、「97%は投資、3%が通信事業」に変化させると言い300年継続する企業群を構築すると宣言し、投資案件の最低単位は、(スタートアップ企業への世間一般の投資規模は5~10億程度であるが)1,000億円以上を想定していると発言した。聞き方によれば、トヨタをはじめ日本各社の投資行動への痛烈なメッセージとも受け取れる。
▼トヨタのニュースリリースによると、
Grab社は、東南アジア8か国217都市で、個人間のライドシェアおよびタクシー配車サービス、オンデマンド輸送サービスに加え、ドライバー向けレンタカーサービス、などを展開している。本年3月には競合関係にあったUber社の事業譲渡を受け、同地域において圧倒的シェアを持つ。
両社は、すでに2017年8月から、Grab社の保有するドライバー向けレンタカー100台に、トヨタが開発した法人車向け通信端末「TransLog」を搭載し、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報インフラである「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」に収集された走行データを活用、Grab社向けのコネクティッドサービスの開発を進めている。
トヨタはこれを足がかりに、東南アジア全域におけるGrabレンタカーのコネクティッド化、及び、それらの車両からMSPFに収集される車両データを活用した、走行データ連動型自動車保険に加え、現在開発中のGrabドライバー向け金融サービス、メンテナンスサービスなど、各種コネクティッドサービスを東南アジア全域に拡大することを狙う。
◆今回の動きは、ライドシェア分野、自動運転でのIT・情報通信企業と自動車企業の攻防と見て取れる。
以上の関係を簡単に整理したのが(下図)である。
ソフトバンクグループ(SB)及び同社とサウジアラビアのFundを主要出資者とするSoft Bank Vision Fund(SVF)は、シェアリング経済の進展とりわけ「自動車のライドシェア分野」を重点投資分野の一つと位置付けている。
トヨタがこの程出資したGrabについては、すでに2014年から出資を開始し、2017年1月には2.5億ドルの出資を完了。SBも出資している中国のライドシェア大手DIDI滴滴出行もGrabに対して3.5億ドルの出資を行っている。
SVFはライドシェアで先駆的な役割を果たしてきた米Uberに対して、投資を重ね、その額は93億ドルに達し、同社の筆頭株主になっている。
この米国でライドシェア分野で第2の位置にあるLift社に対して、GMが2016年1月に5億ドル出資している。また、2017年10月にはGoogleが同社に対し10ドル出資した。Uberと自動運転の知財や幹部引き抜きで対立したGoogleが第2位のLiftと接近していることを示している。
一方、6月31日、SVFがGM自動運転車子会社GMクルーズホールディングスに22億5,000万ドル(約2450億円)を投資することが明らかになった。(GMは2年前、クルーズを10億ドル相当で買収している)。
これを見ると、自動車、IT業界がライドシェアさらには自動運転という分野で激しい陣取り合戦を行っていることが解る。
◆6月に開催されたトヨタとSBの総会を覗いた(SBはWEB)。
席上、豊田社長は、「モビリティ産業」への変身を掲げたが、あくまでも原点は同社がモノづくりで培った強みである原価低減とTPS(Toyota Prodution System)であることを強調。
一方、孫社長は、自分の時間配分として、「97%は投資、3%が通信事業」に変化させると言い300年継続する企業群を構築すると宣言し、投資案件の最低単位は、(スタートアップ企業への世間一般の投資規模は5~10億程度であるが)1,000億円以上を想定していると発言した。聞き方によれば、トヨタをはじめ日本各社の投資行動への痛烈なメッセージとも受け取れる。
モノ作りを原点とし、MaaSというサービス事業に進出しようとするトヨタと、「くるまは情報革命の『一つの部品』]とみなし、クルマを取り巻く事業環境変化を「絶好の投資案件」と見るSB。生い立ちや企業行動・理念が両極にある2社の攻防が繰り広げられている。