米NYマンハッタン「渋滞税」導入へ 米都市で初、(2025年1月5日から) |
[ CASE Editor’s Column ITS海外情報 政策動向 ] 2024年11月25日 |
■キャシー・ホークル・NY州知事、11月14日発表
都市交通局(MTA)がマンハッタン地区において、2025年1月5日から「渋滞税」を導入する
同法案は、過去何度も議論(*)されている。
直近では、今年6月からマンハッタン中心部に乗り入れる車両に、「15ドルの渋滞税を課す」としていたが、労働者の経済的負担が大きいとして、導入が無期限中止となっていた。
改めて導入が決まった渋滞税の基本料金は、当初の策定と比べて大幅に減額、9ドルになる。(NY タイムズ等)
世界的には、シンガポール、ロンドン、スウェーデン(ストックホルム、イエーテボリ)の例が知られている。日本では、石原都政時代検討されたが、立ち消えになった。
(*) CBDを含むマンハッタン区の混雑を緩和するため、ニューヨーク州・市当局及び関係団体等は45年以上議論を行っており、その中で混雑課金が選択肢として検討されてきた。今回のCBDT導入の直近の事例として、2007年のブルームバーグ・ニューヨーク市長による混雑課金提唱がある。
①基本料金
・E-Zパス搭載の自家用車 9ドル
・オートバイ 4ドル50セント、
・小型トラック、非通勤用バス 14ドル40セント、
・大型バスと観光用バス 21ドル60セント、
・タクシーおよびハイヤー 1回毎に75セント、
・ウーバーやリフトなどのライドシェア 1回毎に1ドル50セント。
午後9時から午前5時の夜間は、最高75%の割引。
同基本料金は2028年には12ドルに値上がりする。
②徴税方法
通行料の徴収は、CBDに出入りする道路等に徴収のための装置を設置する。
具体的には、約120箇所の感知地点に、全車線の車両情報を捉えられるカメラと「E-Z Passリーダー」を設置。
車両にE-Z Pass タグが搭載されていない場合、カメラがナンバー プレートの写真を撮影、料金請求する。請求書は、関連する陸運局(Department of Motor Vehicle: DMV)から提供されたデータをもとに、車両の登録所有者に送信される。
③課金地域
マンハッタン・サウスとセントラル・パーク全域を含む60丁目以南、
FDRドライブやウエストサイドハイウエー、バッテリーパーク・アンダーパス通行車は、有料圏内の道に出ない限り課金対象外となる。
④税収の使途
同州政府は、渋滞税の税収を、MTAの公共交通インフラ投資の財源、5ヶ年工事計画の予算に最低330億ドルを充てられると見込んでいる。
今回の実施について、NYタイムは、同構想に反対の立場と言われるトランプ政権誕生前に急遽実施に踏み切ったとコメントしている。
※参考文献※
ニューヨーク市におけるロードプライシング(CONGESTION PRICING)の導入について
https://www.jlgc.org/ja/04-02-2024/12554/
自治体国際化協会ニューヨーク事務所