JMS2023取材印象記"空飛ぶクルマ"(HM記) |
[ Editor’s Column イベント報告 取材 ] 2023年11月19日 |
次に、トヨタが460億円以上を出資しているJOBYの展示について言及する。実物大のモックを展示場に持ち込んでいることから、4人乗りの実機をイメージできた。只、TOYOTAのロゴは見当たらず、一般の人が受ける印象は、"米国のJOBY社が開発している空飛ぶクルマ"が展示されている、といった印象を与えるものになっていた。トヨタとしても、未だ"TOYOTA"を前面に打ち出すところまでの自信が得られていないのではと、思われる。
ロータ数が6個と、2個のオスプレーに比し多いが、その分ロータ径が小さくなっていることまたそれらが尾翼にも分散していることを除けば、VTOL機能を実現する動作は、基本的にオスプレーと同じチルトロータ方式である。そこで、VTOL時のDCとVRの発生領域がオスプレーのそれより改善されているのか、確認しようと試みたが、両発生領域のデータを測定しているとの明快な回答は得られなかった。
オスプレーの海外での最近の事故や、JOBY自身の昨年2月のプロト機の米国での事故を引き合いに出し、VTOL時の安全性は大丈夫かと質問を投げかけてみたが、先のホンダの空飛ぶクルマの開発者と同じ冗長性で対応するとして、やはりエアラインの事故率を確保するので安全との回答が返って来た。その例として、各ロータのモータは同軸に2個配置し、一方がフェールしても残りの一方のモータがカバーするとしていた。
尚、当方からの質問に対応してくれたE. Allison氏は、Head of Productというポジションの人でしたが、最近になってUberから移籍してきたとのこと。また、元もとはボーイング社がテコ入れしている空飛ぶクルマ"Wisk"の設計者だったとしていた。さすが米国、同じ空飛ぶクルマでも雇用条件のよいところにさっさと移籍する様子に、少々驚きを隠せなかった。