ITSジャパンの「統合的移動サービス推進」構想 |
[ Editor’s Column ITS/CASE&MaaS ] 2018年6月23日 |
ITSジャパンは、6月18日(月)、経団連会館にて「2018年度通常総会」、「総会シンポジウム」、「総会交流会」を開催した。
> ◆「通常総会」で、佐々木真一会長が挨拶。要旨は以下の通り。
ITSジャパンは、前身のVERTIS(Vehicle Road and traffic intelligence Society:道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会)が1994年1月に設立、以来25年目を迎える。
将来ビジョンとして、交通事故死者ゼロ空間、渋滞ゼロ空間、快適移動空間、の実現に向け活動している。 現在の活動は、第3ステップ(第3期中期計画)と位置付けている。
「少子高齢化や地域経済の衰退」といった社会的課題に「安全で健康的、全ての国民がどんな地域でも暮らせる日本」の実現に寄与したい。そのため、「活動の目的、技術、活動主体」の統合を目指した「統合的移動サービス実現」のため、活動を推進する。
現在は、ややもすると自動運転に注目されがちだが、「目指すべき全体像」を認識することが重要である
(備考)
目的・ニーズの統合:移動ニーズと社会ニーズを高度にマッチングしたサービス構築
技術・手段の統合:移動手段と移動環境(インフラ)の統合的な進化
プレーヤの統合:多様なプレーヤと知恵を連携した新たな価値創造
◆来賓を代表して経済産業省 製造産業局 多田 明弘局長が挨拶。要旨は以下の通り。
6月15日に閣議決定した「未来投資戦略 2018」、「官民ITS構想・ロードマップ 2018」では、「世界一のITSを構築し、日本、世界に貢献する」として、2020年の高度な自動運転の実現に必要な法制度の整備を進めることが決定された
経産省では、制度整備や技術開発に加え、社会展開を担う事業者の発掘、国民の自動走行に対する受容性の向上などを平行して進める。
(佐々木会長の挨拶に答える形で)「ITSは自動運転にとどまらず、『スマートシティ』といった新たな価値創造に資するものであり、社会が抱えるさまざまな課題の解消につながっていく。
今後ともITSジャパンは産官学の連携の要として、安全で円滑、利便性の高い道路交通の実現を推進し続けてもらいたい.
◆「総会シンポジウム」では、今後の活動の柱となる「統合的移動サービスの実現に向けて」2017年の取り組みと今後の取り組みについて穐場 理事が説明した。
取組むべき3つのテーマを掲げている
テーマ1:多様性に対応した新たな交通手段の実現
テーマ2:情報利活用のための基盤づくり
テーマ3:多様な地域の実情に合ったITSの社会実装
2017年は中期計画で掲げた現場主義を実践し、委員会活動の成果として得られた実現手段の集約と、自治体と連携して地域課題や事例の調査・整理を行い、ケーススタディなど地域実証に結び付ける活動にも着手した。
今後活動の全体像としては、「成果を自治体と連携したケーススタディ、試行の向けた活動に繋げていく」
また、様々な移動手段を有機的に統合し、安全・安心で、活力ある社会を実現する統合的移動サービスのイメージは「"思想"としては、MaaS」、「国・自治体の方針とも統合された状態のMaaS」を「目指すべき統合の姿」とする。
ITSジャパンでは7月にも「統合的移動サービス推進委員会」を発足させ、会員からの募集により具体的な取組みテーマ毎にワーキンググループを結成し、活動を推進する。
◆「総会交流会」は、松山情報通信技術担当大臣の他、綿貫 元衆議院議長、竹下 自民党議員、平野 国民民主党議員、斎藤 公明党議員、高市 前総務大臣など多数の国会議員が出席し挨拶した。総会には、豊田章一郎名誉会長も姿を見せ、ITS推進に衰えぬ意欲を示していた。
> ◆「通常総会」で、佐々木真一会長が挨拶。要旨は以下の通り。
ITSジャパンは、前身のVERTIS(Vehicle Road and traffic intelligence Society:道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会)が1994年1月に設立、以来25年目を迎える。
将来ビジョンとして、交通事故死者ゼロ空間、渋滞ゼロ空間、快適移動空間、の実現に向け活動している。 現在の活動は、第3ステップ(第3期中期計画)と位置付けている。
「少子高齢化や地域経済の衰退」といった社会的課題に「安全で健康的、全ての国民がどんな地域でも暮らせる日本」の実現に寄与したい。そのため、「活動の目的、技術、活動主体」の統合を目指した「統合的移動サービス実現」のため、活動を推進する。
現在は、ややもすると自動運転に注目されがちだが、「目指すべき全体像」を認識することが重要である
(備考)
目的・ニーズの統合:移動ニーズと社会ニーズを高度にマッチングしたサービス構築
技術・手段の統合:移動手段と移動環境(インフラ)の統合的な進化
プレーヤの統合:多様なプレーヤと知恵を連携した新たな価値創造
◆来賓を代表して経済産業省 製造産業局 多田 明弘局長が挨拶。要旨は以下の通り。
6月15日に閣議決定した「未来投資戦略 2018」、「官民ITS構想・ロードマップ 2018」では、「世界一のITSを構築し、日本、世界に貢献する」として、2020年の高度な自動運転の実現に必要な法制度の整備を進めることが決定された
経産省では、制度整備や技術開発に加え、社会展開を担う事業者の発掘、国民の自動走行に対する受容性の向上などを平行して進める。
(佐々木会長の挨拶に答える形で)「ITSは自動運転にとどまらず、『スマートシティ』といった新たな価値創造に資するものであり、社会が抱えるさまざまな課題の解消につながっていく。
今後ともITSジャパンは産官学の連携の要として、安全で円滑、利便性の高い道路交通の実現を推進し続けてもらいたい.
◆「総会シンポジウム」では、今後の活動の柱となる「統合的移動サービスの実現に向けて」2017年の取り組みと今後の取り組みについて穐場 理事が説明した。
取組むべき3つのテーマを掲げている
テーマ1:多様性に対応した新たな交通手段の実現
テーマ2:情報利活用のための基盤づくり
テーマ3:多様な地域の実情に合ったITSの社会実装
2017年は中期計画で掲げた現場主義を実践し、委員会活動の成果として得られた実現手段の集約と、自治体と連携して地域課題や事例の調査・整理を行い、ケーススタディなど地域実証に結び付ける活動にも着手した。
今後活動の全体像としては、「成果を自治体と連携したケーススタディ、試行の向けた活動に繋げていく」
また、様々な移動手段を有機的に統合し、安全・安心で、活力ある社会を実現する統合的移動サービスのイメージは「"思想"としては、MaaS」、「国・自治体の方針とも統合された状態のMaaS」を「目指すべき統合の姿」とする。
ITSジャパンでは7月にも「統合的移動サービス推進委員会」を発足させ、会員からの募集により具体的な取組みテーマ毎にワーキンググループを結成し、活動を推進する。
◆「総会交流会」は、松山情報通信技術担当大臣の他、綿貫 元衆議院議長、竹下 自民党議員、平野 国民民主党議員、斎藤 公明党議員、高市 前総務大臣など多数の国会議員が出席し挨拶した。総会には、豊田章一郎名誉会長も姿を見せ、ITS推進に衰えぬ意欲を示していた。
◆◆ ITSジャパンの活動・存在感は毎年高まっている ◆◆
昨年の総会で佐々木会長は「社会的課題の解決に向けた交通と街づくりの『ファシリテータ』として、これまで築いてきたつながりを活かしながら、産官学連携をリードしていきたい」とした。
事業報告を聞く限り、その為の基礎的活動を現場で地道に推進していることがうかがえる。例えば、国・自治体で様々な形で蓄積されている1,000件以上の事例を分析、課題解決への糸口を体系化、地方創生を積極的に推進している都市などの分析類型化を試みている。また、地方での交流会も積み重ねている。
これらのデータや情報は、いわゆるビッグデータであり、解析如何では、ファシリテーターの貴重な資産となろう。
また、統合サービスのイメージをMaaSとし、国・自治体の方針との統合も行う謂わば「レベル4」のMaaSを目指すとしているのも意欲的である。
この考え方は、昨年の世界会議でも一部提案されており、考え方の整理として重要である。
蛇足だが、高度成長期に提案された「総合交通体系論」がどちらかと言うと「Political Correct」であったのに対し統合的移動サービスは「Market Correct」という整理も成り立つ。
MaaSの先進都市として、フィンランドやスウェーデンがよく知られている。スウェーデンは、ストックホルム市のロードチャージ、イエテボリ市の都心乗り入れ規制、マルメ市の自転車利用の推進などをすぐ思い付く。
なぜ、北欧で先駆的に提案されているのか、彼我の差は何か、少し深堀したい。。
関係主体の統合を考える場合、わが国は道路交通とりわけ、乗用車に重点が置かれているのは気になる。
欧米でのITS世界会議等でのテーマ設定を見ると明白な差がある。統合を考える場合、会員構成も含め検討課題であろう。「More than a MaaS」を目指すためにも重要と思われる。
昨年の総会で佐々木会長は「社会的課題の解決に向けた交通と街づくりの『ファシリテータ』として、これまで築いてきたつながりを活かしながら、産官学連携をリードしていきたい」とした。
事業報告を聞く限り、その為の基礎的活動を現場で地道に推進していることがうかがえる。例えば、国・自治体で様々な形で蓄積されている1,000件以上の事例を分析、課題解決への糸口を体系化、地方創生を積極的に推進している都市などの分析類型化を試みている。また、地方での交流会も積み重ねている。
これらのデータや情報は、いわゆるビッグデータであり、解析如何では、ファシリテーターの貴重な資産となろう。
また、統合サービスのイメージをMaaSとし、国・自治体の方針との統合も行う謂わば「レベル4」のMaaSを目指すとしているのも意欲的である。
この考え方は、昨年の世界会議でも一部提案されており、考え方の整理として重要である。
蛇足だが、高度成長期に提案された「総合交通体系論」がどちらかと言うと「Political Correct」であったのに対し統合的移動サービスは「Market Correct」という整理も成り立つ。
MaaSの先進都市として、フィンランドやスウェーデンがよく知られている。スウェーデンは、ストックホルム市のロードチャージ、イエテボリ市の都心乗り入れ規制、マルメ市の自転車利用の推進などをすぐ思い付く。
なぜ、北欧で先駆的に提案されているのか、彼我の差は何か、少し深堀したい。。
関係主体の統合を考える場合、わが国は道路交通とりわけ、乗用車に重点が置かれているのは気になる。
欧米でのITS世界会議等でのテーマ設定を見ると明白な差がある。統合を考える場合、会員構成も含め検討課題であろう。「More than a MaaS」を目指すためにも重要と思われる。