経産省が「モビリティDX戦略案」を公表 SoC、Lidar等を協調領域指定 |
[ Editor’s Column 自動運転 ] 2024年5月23日 |
▼▼以下、検討会の特色を記述する(順不同)▼▼
▼自動走行ビジネス検討会との違い▼
両省は、過去「自動走行ビジネス検討会」を立ち上げ、2022年に「L4へのロードマップ」をまとめた。
「モビリティDX検討会」はその後継と位置付けているが、それぞれの目的と相違点は以下の通りである。
1) 自動走行ビジネス検討会
目的: 自動運転技術の普及・発展を促進し、社会実装に向けた課題を解決すること。
活動内容: 自動運転技術の法規制、安全性、技術基盤、社会的課題などについて、自動運転の実現に向けた戦略を検討した。
2) モビリティDX検討会
目的: モビリティ(交通・移動)分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)に焦点を当てて、技術革新やビジネスモデルの改革を推進する。
活動内容: 自動車、鉄道、航空、ロボット、ドローンなどのモビリティ関連技術について議論し、産業界や政府と連携してDXの促進策を検討。
また、作業期間は、約6ヶ月とこの種の検討会としては短期間でまとめており、DX化の短期促進を訴える検討会に相応しい。
▼かなり本音の話し合いと情報公開▼
令和6年3月25日(月)に行われた検討会の議事要旨を読むと、以下のようにかなり本音での話し合いが行われていたことが伺える。主な点を引用列挙する。
1)「SDV・データ連携WG」では、新興自動車メーカーが出てきている中、「このまま個社ごとで進めていては勝っていけない」という強い危機感が共有されたことが重要。
2)「戦略というからには全て公開するのではなく、クローズ領域があるべき」という意見も出た。個社のクローズ領域、日本としてのクローズ領域、世界的にオープンにする領域と、3段階あるが、日本としての勝ち筋はクローズにすべきところもあるという議論が出た。本戦略の中でもこの観点での意見を頂戴した。
3) OTAに関し、世界で起きていること、内容、世界と日本の頻度の差を把握しなければならない。
4) 3つの領域の注力度の濃淡も必要。
例えば、SDVや車両基盤が最も重要であり、「①車両の開発・設計の抜本的な刷新」ができないと「②自動運転・MaaS技術などを活用した新たなモビリティサービスの提供」も「③データの利活用を通じた新たな価値の創造」も進まない。
5) 「SDV実現に向けた標準化等の国際動向」で示された通り、中国や欧州での活発な動向に合わせ、日本固有ではなく、グローバルで行うシステムにしていきたい。
特に中国が官民一体で動いており、非常に進んでいる。我が国においても、今回の議論の中で、協調領域をどのように決めるかをさらに調査し、日本として取るべき方針を戦略にまとめ、その後もう一度7つの方向性が正しいのか、さらに必要な点が無いかを議論すべき。