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愛知県日進市の自動運転バス実証実験

[ Editor’s Column Smart City/豊田市動向 自動運転 ]


■日進市・地域公共交通・自動運転からの視点
◎日進市一市民の立場から
自動運転実験の路線は、名鉄日進駅、市役所を結ぶ市の施設であるスポーツセンター、「おりど病院」を途中駅としている
日進市には市営病院はなく、「おりど病院」が市民病院の代わりとなっているが規模はそれほど大きくない
市民の交通手段は、自家用車が6割を占めており、大病院受診を希望する市民は隣接市の名古屋記念病院(名古屋市)、藤田医科大学病院(豊明市)、愛知医科大学病院(長久手市)を利用している。名鉄豊田線を利用して名古屋へ行く以外は公共交通の利便性はよくない。

実験ルートの場合、利用者の立場で考えて、路線の起終点は、便利な公共交通と結ばれるのが望ましい。片方の日進駅は良いとして終点は長久手市内を経由して古戦場跡駅(長久手市 リニモ線)までつながるのが望ましい。が行政区域をまたぐため取り組みは容易でないと思われる。
日進市民のために長久手市の駅にターミナルを設置する場合、施工主・費用負担はどうなるのか?課題は残る。

◎地域公共交通充実の立場から
岸田内閣は、「骨太の方針2022」の中で、交通事業者と地域・国の官民共創等による地域公共交通ネットワークへの再構築を取り上げている。
法整備等を通じ、国が中心となって、交通事業者と自治体が参画する地域公共交通協議会による計画策定・規制緩和を行う、としている。
この方針に基づき、2023年4月28日、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正法=地域交通法」が公布された。

この特色は、公共交通を重要な社会インフラとして捉え、関係主体の責任を明確化した点、さらに改正法の具体的施策は、自治体主導による国・自治体・事業者の「共創体制構築」、と「社会資本整備特別交付金への項目追加」とした点である。
日進市は、他の自治体と異なり人口は増加傾向にある。この有利な点を生かし、公共交通充実を促進してほしい。
前項で紹介したBOLDYの佐治社長は、自動運転バスは"横に動くエレベーター"のようなものだ。将来新しい地方公共交通の核となり、バス事業が成長産業となることを夢見ていると述べていた。

◎自動運転の視点から
自動運転は自動車技術のイノベーションとして、国際的にも激しい開発競争が展開されている。
わが国でも自動運転は交通事故、運転者不足等の社会課題解決の手段として注目され、全国各地で実験が行われている。

日進市の実験は、「地域公共交通確保維持改善事業自動運転実証調査事業」として、国の100%補助で行われている。
実験は運転補助者が、同乗するいわゆるレベル2である。現在のところ先に述べた課題解決には程遠い。

経済産業省は、国土交通省と連携して、自動運転レベル4等の先進モビリティサービスの実現・普及に向けて、研究開発から実証実験、社会実装まで一貫した取り組みを行うプロジェクト「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」を推進している.
2025年度までに多様なエリア、多様な車両に拡大し、40カ所以上に展開することを目指している。日進市がレベル4のサービスを提供する都市になっていることを期待したい。


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