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   東大 須田教授、名大 森川教授による講演
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「人とくるまのテクノロジー展 2024 名古屋」
   東大 須田教授、名大 森川教授による講演

[ Editor’s Column ITS/CASE&MaaS 自動運転 ]

「人とくるまのテクノロジー展2024名古屋」が7月17日(水)~19日(金)の3日間、愛知県中部国際空港隣接の愛知県国際展示場EXPO AICHIで開幕された。主催は、公益社団法人 自動車技術会。
今年は、過去最多392社が出展、各種の企画、講演会等が開催された。
ITS-P21は、18日(木) 東大 須田教授と名大 森川特任教授の「自動運転企画講演会」を聴講。

東大 須田教授、東大発の「自動運転エコシステム作りを紹介
須田 義大 氏(東大 モビリティ・イノベーション連携研究機構長 生産技術研究所 次世代モビリティ研究センター教授)は「モビリティ・イノベーション 自動運転の社会実装と未来」と題して講演。
▼主な項目は以下の通り▼
1) 日本は、技術開発、制度、社会受容性の醸成に取り組んできた。特に制度については、道交法、道路運送車両法などが2015年~2020年にかけて改正、「特定自動運行許可制度」が新設された。
2) 東大生産技術研究所は、千葉県柏市に、ITS・自動運転の試験場を開設、柏市ITS推進協議会を設置、自動運転バス実証実験、自動運転推進のエコシステム構築を行っている。
3) 海外では、欧州は、日本の推進方法と類似している。須田Mobility.jpg
米国、中国では、ROBO TAXIの公道での走行が行われている。特に、中国大湖市では、国策として実験が行われ50台走行、常熟市では100台ともいわれるROBO TAXIが走行している。
4) デジタル庁の自動走行ビジネス研究会は、Road to the L4で4地区の実験を推進している

5) 将来のモビリティの姿は、所有/共有、手動運転/自動運転のマトリックスで区分すると、クルマは将来、共有/自動の方向に向かう。(右図 出所:自技会誌 2023年12月号 )

名大 森川特任教授、自動運転時代における「道路利用税」を提案
森川 高行 氏(名古屋大学 未来社会創造機構モビリティ社会研究所 特任教授)は、「自動運転がもたらす都市へのインパクト」と題して講演。
▼主な項目は以下の通り▼
1) 移動におけるCASE革命の中では、自動運転技術のインパクトが最も大きい。
自動運転は、事故、渋滞、大気汚染という「外部不経済」を解消する可能性が高い。また、運転手不足など社会課題解決の手段になるとともに縮小する地域公共交通をよみがえらせる可能性もある。
2) 自動運転は、自動車の稼働を高め、特に都市部では自動車交通が増大するとともに都市の分散を促進させることにより、「コンパクト化」に逆行する恐れがある。
また、都心では、路肩での乗り降り、荷捌き等、路肩の奪い合い現象が発生する恐れがある。
BEVの自動運転車は、道路建設の実質的財源になっている「ガソリン税」を支払わないため、「道路のタダ乗り」が発生し、道路インフラが弱体化する。
3) 米国・中国に比較して日本は実装で遅れているが、L2でも相当な課題解決が可能である。森川教授3マネジメント.jpg
4) 自動運転時代の必要な3つのマネジメントの必要性を提案(出所:豊田都市交通研究所)
① 道路マネジメント「道路利用料金制度」
② 路肩マネジメント
③ 移動サービスマネジメント

■講演会への若干のコメント
会場は若い自技会員で超満員、関心の高さを示していた。おそらく300人は超えていたのではないか?

講師の2教授は、自動運転分野の制度設計に深く関与し、また自ら実証実験の現場で指導してきているだけに説得力があった。
① 須田教授の講演内容は、自技会誌2024年12月号「自動運転"研究"寄稿論文」、
森川教授の講演内容は、今年7月 豊田都市交通研究所研究報告会での基調講演を再構成したものであった。豊田都市交通研究所研究報告書
② 両氏によれば、日本の自動運転実装は、米国、中国に大きく立ち遅れているというのが共通認識であった。
須田教授は、今後のモビリティの変化として、クルマは「共有、自動」の方向に向かうとした。「共有、自動」の進展度合いがどの程度か?の予測が重要となる。
森川教授は「道路利用料金制度」の導入を提案している。
「道路利用料金制度」は、10年程度以前から米国オレゴン州をはじめ各州で検討が行われている。日本でも自民、政府税調で検討されている。「自動運転」というより「EV」対策の面が強いが...
③ CN(カーボンニュウトラル)では多額の「購入補助金」を給付し、一方で実質的に「利用抑制的料金」を賦課するという政策の整合性が論点となる。

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