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「交通・モビリティ」から見た「スマートシティ」の論点

[ Editor’s Column ]

3.都市・交通計画との関係・考え方の整理

●「スマートシティ」とは、ビッグデータ活用による都市課題の解決取り組みである。スマートシティ課題の大きな一つである都市・交通計画について、「コンパクトシティ」との関係整理が重要である。

●CASEは自動車の「移動手段」としての機能を劇的に変化させる。

●MaaSは私的交通手段と公共交通の中間として新たなサ-ビスを創出する。いわば交通の「自助・共助・公助」のうち「共有=共助交通手段」の出現である。
「共有交通手段=MaaS」は異種交通マルチモーダル・インタフェースをビッグデータで構築したプラットフォームで結びつけるサービスである。従ってスマートシティのエコシステムにおいて欠かせない構成要件となる。
国内の鉄道会社がこぞってMaasSについて研究している背景もここにある。

自動運転や「MaaS」が導入されると都市の構造はどうなるのであろうか?成り行きでは、コンパクトシティとは逆方法に振れるのだろう。スマートシティも同じと考えられる。

●コンパクトシティとスマートシティについて森本早大教授が、比較をしながら両者の融合を提案している。以下、教授の「コンパクトシティとスマートシティの融合に向けて」(地総合研究 2019年春号)の関係部分を引用する。

両者の比較要旨は別掲表のとおりである。森本1.jpg一言で言うと「コンパクトシティは都市空間を対象としているが、スマートシティは主として情報を対象としている。
また、双方の融合は、可能であり重要であるとしている。「コンパクトシティは、空間構成の変更を伴うため、実現には10年、20年といった長期の時間を要する一方で、スマートシティは、技術革新によって秒単位のデータ送受信で行動変容を促したり、データ連携による新ビジネスの起業であったり、相対的に短期で変化が発生する。」

●コンパクトシティは「都市再生特別措置法」に基づく立地適正化計画で推進されている。

●スマートシティは「国家戦略特区法」で推進される。いずれも将来の我が国の都市の在り方に関する取り組みである。社会課題の解決、技術革新と国際競争などにどのように取り組むか?
私見では両者の関係は一言でいうとリアルとサイバーの「デジタルツイン」の関係である。

●森本教授は両者の統合の領域として4フレームを提案している。
今後スマートシティは改正「国家戦略特区法」に基づく対象地区の公募選定、実装のための社会実験が行われることになるが、関係者は両者の関係について常に意識することを期待される。森本2.jpg

2020年1月、米国CESで、トヨタが発表した静岡県裾野市の工場跡地70haの「Woven City」構想に、内外3,000者から参加の申し込みや問い合わせがあるという。2月から着工ということであるから、そのころ具体的な構想が発表されるだろう。
同地区の強みは私有地の再開発で自由度は高い。世界的に有名なデザイナーによる開発であるが、あまり難しい提案やコンセプトでなく、まずは、自動運転を核とするMobility for Allのための実験場を期待したい。


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