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豊田市交通モデル都市 ④ 総合プロデュ-サーの必要性

[ Editor’s Column Smart City/豊田市動向 ]

◆「まちづくり総合プロデューサー」の提案
約40年前、自動車会社で「交通環境改善活動」を担当していた。その時、広告代理店から「交通環境改善活動」について、総合プロデュ-サーの必要性と具体的提案を受けたことがあった。
ポイントは、当時アメリカで始まりつつあった「Workshop」の手法を導入し、豊田市民の参加してプロジェクト推進という案であった。
アメリカは、この面で専門のコロンビア大学教授が当たり、日本は、工業デザイナーがチーフとなり、地元行政を含め、現在の言葉でいえば「産官学民」連携で約10年のプロジェクトを組むというものであった。
「Workshop」という言葉は、今でこそ日本でも理解されているが、当時は辞書を引いても、周りの人に聞いても、提案企業に聞いてもうまく説明してもらえず、イメージがつかめないままであった。
そこで言われたことは、この種のプロジェクトは「全体の構想を練り、関係のステイクホルダーとの調整・理解を得て、スケジュールと関係資源の配分を行うリーダーが必要」、そこを前述のデザイナーが当たる。
彼はライフワークとして取り組む「まちづくりの総合プロデューサー」、ミクロ的には「地域活性化プロデユーサー」といったところである。

◆今年1月、豊田市に「未来都市研究会」という研究会がスタートした。
▼研究会のねらいは:
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「未来を描く50年先の社会を予測し、直近10年間に実用化が予想される技術の開発、価値の創出、くらしの変化を織り込んだ「ビジョン」を市民目線で描き、豊田市民と国内外に提示する」。
また、平成30年以降スタートするプロジェクトとしては、以下の項目を例示している。
1. シェアリング車両を活用した都市部での低速無人走行・駐停車、
2. 人と車両のコミュニケーション(個人のニーズに合った情報提供)、
3. 個人の判断で車両を運転し、生活支援等を行うロボット開発、
4. 車載情報をまちづくりに活用(道路・交通管理、防災等)、
5. AIロボットを活用した快適に暮らせるスマートハウス、
以上、交通、まちづくりに関するテーマがほとんどで、豊田市ならではの取り組みと言える。

◆これに先立ち、同市は2016年10月、第8次総合計画を策定した。
◎ 計画は、「つながる、つくる、暮らし楽しむまち・とよた」を将来都市像に掲げ、2040年を展望した「基本構想」、それを実現するための施策を取りまとめた「実践計画」(2017年度~2024年度)の2部構成となっている。
◎ 交通関連では、産業を支えるネットワークの形成、利便性が高く持続可能な公共交通ネットワークの形成、環境にやさしく安全で快週な交通まちづくりの推進を挙げている。
総合計画も未来都市研究会も40年、50年先を見据え4~5年でローリングしながら推進していくもので非常に意欲的である。課題は如何に推進していくかである。
いずれも、各ステークホルダーと連携しながら行政手順に即して行われることになる。

冒頭の外部からの総合プロデュ-サー提案を思い出してみると、万博などのプロジェクトでは今や普通となっているが、行政が主体的に推進するプロジェクトにこの方式を取り入れる例は少ない。
総合プロデュ-サーの既存組織との位置付け・役割・権限など、整理すべき項目が多く、導入は容易ではないからである。

◆実証実験のマザー都市「豊田」
地元の自動車産業は、100年に一度といわれる環境変化の中で、矢継ぎ早に対策を打ち出している。
昨年の豊田都市交通研究所の研究発表会で来賓のトヨタの役員は、豊田市をモビリティ革命「実証のマザー都市」と位置付けていると発言した。折角、未来都市研究会という豊田ならではの活動を立ち上げたのであるから、推進方法についても新しい取り組みを期待したい。

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