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ITS世界会議「CTOサミット 」で自動運転に厳しい意見

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CTOは4回に分けて行われたがこの種の会議としては出色であった。その理由は以下と考えられる。
1.テーマに社会的に注目されている「自動運転」を取り上げたこと。
2.パネラーが各社技術開発の責任者で構成され各自が自分の意見として明快に発言できたこと及び7人が自動車メーカー4人とサプライヤー3人で構成されたこと。
3.DelphiのCEOが冒頭で課題を明確に整理したこと。
4.会議途中で会場から質問を回収し、スタッフが手際よく整理し司会者に渡し端的に質問したこと。
1) 登壇者の構成
司会:delphi(GMから分離独立した総合部品メーカー)のCTO
スピーカー:
部品メーカー:
Continental Automotiv(独の総合部品メーカーで最近特にITSに注力)、TexasInstrument(半導体メーカー),Visteon(Fordから分離独立した総合部品メーカ)
自動車:
GM,Ford,Toyota,Honda(日系企業は現地法人から参加)
2) 問題提議とスピーカーによるプレゼン特記事項
冒頭本セションのスポンサーでもあるDelhiのCEOが自動運転に関する課題を「自動運転への道」と題して以下のようにまとめた。
How do we balance the need for safety with the demand for connectivity?(安全性とのバランス)
When are we going to make full automation affordable(完全自動化の時期)
So what infurastructure is required(インフラ側必要施策)
How are going to manage cyber-security concerns and privacy issues?(セキュリティ、個人情報)
What is the response and where do we stand currently(現在の状況)
What are the key legal and Liabillity considaerrations?(制度、信頼性)
Bottom line:Who is going to pay for all of this?(採算見通し)
次に7人のパネラーが簡単にプレゼンを行ったが具体的かつ端的であったのはGM CTOの発言であった。panelist04.jpg
同氏は米国で1966 年からTVで放映されたSF番組「Star trek」を例にとり50年経過して「自動運転の夢は現実のものになりつつある。しかし予測はむつかしい」としながら以下の6つの予測を行った。①高速道路での自動運転、②一部地域での完全自動運転化、③自動駐車、④「車to人」通信による事故削減、⑤車両での5G通信、⑥インフラの高度化





3) Q&A
本セションの特色は冒頭でも述べたように参加者の関心の高さであった。司会者が取り上げた質問と主な回答は以下のとおりであった。
コストについて⇒ハード・ソフト双方の協力が必須である。現在のセンサー、レーダ等はコスト、スペックとも車に合わない。センサーは約100$するが、50$程度に、レーダーも25000$するがこれでは搭載できない。スペックも車に合わない。
開発期間⇒スマホなどの商品は開発期間が18ヶ月というが、車は「命」を保証するため比較できない。
ITSの普及による社内の仕事の進め方の変化について⇒関係部署のシームレスな連携が促進されている。
ITS推進によるビジネスモデルの変化について⇒従来の関係業界以外からの参入が期待できる、消費者の変化がもたらす変化。モビリティ産業へ
ITSの便益とは何か?(一言で)⇒「衝突しない車」と「smart化」
自動運転実現の「障害」は何か(一言で)⇒規制、消費者の受容性、コスト、関係者の協力
自動運転実現の時期は?⇒サプライヤーとメーカーで分かれる
サプライヤー:2025年、10年以内
自動者メーカー:完全自動運転(運転者不在)は「遠い将来」(Far Beyond)
4) コメント
「ITS」は自動者業界の実務にとって必ずしも中枢と言えなかった。しかし「自動運転」「究極の安全車開発」という「命題」の中で舞台の中央にでてきたと言う印象である。それとともに、「議論」も白熱化する。また自動車業界も「単体売りきり」の業界から「モビリティ産業」「ネットワーク産業」への変換へと迫られビジネスのあり方自体の変換が余儀なくされる。
「自動運転への取り組み・関心の高まり」の要因としてGoogle参入の影響が大きい。同社の狙いは何か?業界の関心事の一つである。
一方、GM,トヨタなど自動車メーカーの「慎重姿勢」が際立つ。足元で「大リコール」で議会喚問されているGMやリコールで米政府と和解し巨額の和解金を支払ったトヨタなど自動者業界としては「車の怖さを熟知」しているからかもしれない。しかし、「高度運転支援システム」に関する競争は激化する。開会式でのGM CEOが発表したキャデラック15年モデルでの新システム搭載やトヨタの「小型車への18年搭載」の発表などを見ると「安全」が商品企画の最重要テーマとなり、それとともにITS世界会議は制度、規格を含めた国際的な産官学「競争と協調の場」としての重要性も増してくる。

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