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ITS世界会議-自動運転時代の「赤旗法」は?-

[ ITS/CASE&MaaS ITS海外情報 特集記事 自動運転 ]

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概要
会期・・・・2016年10月10日(月)~14日(金)
会場・・・・Melbourne Convention and Exhibition Centre
会議テーマ・・・・ITS Enhancing Liveable Cities and Communities― 住みよい街とコミュニティへ ―

参加者は、概略、以下の通りであった。今回の開催は、Melbourneで開催されたいくつもの国際会議のうち過去2番目に大きな規模の開催となった。
11,496・・・participants (original target was 7,000 people)
73・・・・・・countries represented
236・・・・・sessions hosted
663・・・・・speakers presented

基調講演
会議のトピックスは、大きく以下の8つのテーマに区分されていた。
プログラムからテーマ件数を、Session毎に整理して見ると全体で204件、うち"SMART CITIES AND NEW URBAN MOBILITY"と"AUTOMATED VEHICLES AND COOPERATIVE ITS"が多く、最大の関心事であることが分かる。
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①②⑦は東京会議以降取り上げられているテーマであり、引き続く会議での継続性が維持されている。全体として、各Sessionとも活発に質疑が行われていた。

開会翌日の基調講演PL1 「AUTOMATED VEHICLES AND COOPERATIVE ITS」では、Key Note Speechを、豪Bosch社長が行い、その後、日米欧3極の代表も行った。
内容は、いずれも各国が行っている施策の紹介であり、特に目新しいものはなかったが、只、各国共に自動運転の実用時期を2025~30年としている点が目立った。これは、GoogleなどIT先端企業やCES参加の主要企業が参加せず、政府関係者と自動車及びサプライヤーが主体となっている会議の性格を表しているとも言える。

Sessionの取材としては、①⑥⑦を中心に行った。
①では特に⑥とも関係するが「国際協調・標準化」の視点と自動運転の中核技術の一つである「Map」の動向につきフォローした。「国際協調」に関しては、直前に日本で行われたG7でも、そのことが確認されており、具体的な実務は、国連のWGやISO、ITUのレベルで行われている中で、ITS世界会議は、ITSに関する実務レベルのインフォーマル会合という位置づけとなっている。
そうした中、昨年のボルドー会議のSession32「3極連携」で米DOTの代表として説明したMs.Jane Lappinが、今回はトヨタがAIの研究拠点として設立したTRIの所属としてその全体概要を説明したのには驚いた。
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因みに、昨年の同Sessionでは、韓国から「参加は何故、日米欧だけか?」と質問があったが、今回は、韓国と豪がオブザーバーとして参加していることが確認された。
⑦では今後の動向の一つである「MaaS」に関する動向を追った。

展示会
展示会へは278の企業・団体が参加していた。国別、地域別データの精査はしていないが、会場での日本の企業・団体による展示の占有率、存在感は高かった。事務局が提供したデータによると日本からの参加は、地元オーストラリアを除き、最も多かった。他方欧米は、一部企業を除きGM、Bentzなど主要な自動車メーカーや、IT企業が出展を見合わせており、全体の展示スペースを、休憩スペースの確保等で体裁を整えたという感じがした。
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常連のトヨタグループや各種団体の他に、初参加者として村田製作所、JEITEKTがあり、昨年から参加のFORUM8も引き続き出展していた。こうした状況には興味深いものがあると感じた。
また大企業ではPanasonicの自動車=ITSにかける取り組みが注目される。同社は国内での藤沢市での都市開発に加え、米国デンバー市での都市開発の受注もしている。
欧米系では、自動運転用のデジタル道路地図の覇権競争をしているTOMTOM、HERE、ドキュメント分野からトランスポーテション分野へと事業転換を図るXeroxを、特に取材した。同社の状況は数年前のContinentalを想起させ大変興味深いものがある。
 Demo,Technical Tour
 Demoは14件行われ3,618人が参加したと発表された。
 14・・・・・demonstrations
 3,618・・・people participated in a demonstration
 17・・・・・technical tours took place

Award
Awardは個人、企業・団体、地域の3区分で行われた。
個人表彰では今年はアジア・太平洋地域から前ITSジャパン会長の故渡邉浩之氏が受賞し、佐々木現会長が彼の功績を称えるお礼のスピーを行ったのが印象に残こった。
ITS Lifetime Achievement Awards winners
Professor Eric Sampson of Newcastle University
Kirk Steudle, director of the Michigan DOT
Dr. Hiroyuki Watanabe, former chairman, ITS Japan

また今年は、会場広場に第1回受賞者から今回までの受賞者のパネルが展示されていた。
そうした中、第1回の受賞者であるITSジャパンの豊田名誉会長の非公式な来場があった。また同じく第1回の受賞者であるR.Shealds氏(米)は、ES2、7の各Sssionに登壇し、ITSへの氏の思い入れの強さを示すとともに、いまだ大きな影響力を持ち合わせていることを伺わせていた。HP05.jpg

OpenDay&Students SchoolsProgram

東京会議以降続いている、一般無料公開、市民参加公開シンポジューム、学生向け公開授業が開催されていた。一般に馴染みのないITSについて認知度を高めよういう工夫であり、定着してきていると感じられた。

自動運転時代の「赤旗法」のあり方は?

ITS世界会議には過去13回、特にロンドン会議以降、連続して11回、参加・取材してきた。
会議は毎年3極で開催され、3年後のシンガポールまで開催地が決定されており、盛況が続いている。
テーマは時代と開催地の事情を反映し「地球環境」「治安=Security」「経済・雇用」「宇宙」などと変遷し今年は「都市」が主要テーマであった。しかし、内容は、基本的には東京会議以降、継承されて来ており、「自動運転」「Big Data」「Smart City」が主となっている。このことは3極の各事務局の体制強化と連携が向上してきたからだと思われる。

開会式前に行われている非公開の「HIGH LEVEL POLICY ROUNDTABLE」も「政府関係者」の会合が定着しており、歓迎すべき状況にある。

今回の主要テーマの一つは、先に紹介した通り、「Automated Vehicles」であったが、PL1での豪Bocsh社長の基調講演のなかで、馬車から自動車登場の移行期に英国で「The Locomotives on Highways Act 1861」が制定され、「郊外では4 mph(6 km/h)、市街地では2 mph(3 km/h)の速度制限を定め」かつ、「自動車は、運転手、機関員、赤い旗を持って車両の60ヤード(55メートル)前方を歩く者の3名で運用することを規定する」とした通称「赤旗法」が制定されたことを紹介したが、「自動運転」の時代を迎える我々にとっていかなる教訓とすべきか、特に言及はなかった。HP06.jpg

政府間の公式会合でもなく、学会でもなく、単なる展示会でもないITS世界会議は「ITSのゆるやかな情報交換の場」として、パリ開催以来、23回もよく継続しているものであるというのが実感である。
一重に、それを可能にしているのは各国関係者の「ITSの重要性」の認識と、主催地にとっても「興業=商業的利益」があることも、その理由の一つと思われる。

◆参加者の国・地域ブレイクダイン・・日本は豪州につぎ、第2の参加者、第3位は中国
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◆「HIGH LEVEL POLICY ROUNDTABLE」
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