ITS-P21 レポート |
「市民参加による持続可能コミュニティの育成」講演概要
スティーブ・ジョンソン博士, USAオレゴン州ポートランド州立大学
ポートランド市は
Best Bicycling City (Bicycling magazine)
Best Walking City (Prevention magazine)
Most Sustainable Policies (SustainLane)
Most Vegetarian Friendly (Vegetarian magazine)
に選ばれた
ポートランド市の持続可能エコノミー
再生可能エネルギーは全使用量の50%
通勤者の4分の1は自転車、公共輸送機関、パーク&ライドで通う
一人当たりのガソリン使用を9%、 家庭の電気使用を10%を減らし、リサイクルは3倍になった。(1990〜2004)
自転車での通勤者は5倍になり、毎日1万人がバイクでダウンタウンに通っている。
シティー・リペア・プロジェクト
住民による地域空間づくりを支援する近隣組合 (Neighborhood association) のプロジェクト。
住宅地の交差点をカラフルに塗り、連絡板や図書を置いたスタンドや小さな小屋を作り、地域住民がつどうことができる空間を作っている。
当然、当初は市当局は反対で認めなかったが、
市議会に訴え公道の改変が条例制定により可能になった。
ファーマーズマーケット
オレゴンのファーマーズマーケットは1998〜2005年に38から68へ約2倍になった。
マーケット周辺のビジネスにも影響を与えた
約半分の人が、買物の半分以上をファーマーズマーケットやその周辺で済ますというデータがある。
写真は昨年ポートランドを訪問した際 |
Young Creatives
高学歴、革新的で企業精神にあふれる
彼らは雇われるより、起業することを好む。
Young Creativesの3分の2は、仕事を心配する前に住む場所を決める。
彼らは保守的な仕事を好まない。
自転車乗車用ウェアを作ったり、ウェブサイトをデザインしたり、レコードレーベルを始めたり、コーヒーショップをオープンしたりする。
Young Creativesにとってポートランドの何が魅力か
ポートランドに引きつけるキーとなるものは、居住性、ローカルのレクリエーション機会、音楽と芸術、そして、おいしいビール等の消費機会。
また、近所、公共交通機関、自転車の乗りやすさ等も気にする。
しかし、決定的な要因は、しばしば抽象的で、政治的、社会的な寛容性、知的な多様性と起業機会にある。
結論
持続可能なコミュニティを創出することは、力強い市民生活に依存している。
持続可能性は、市民社会と政府、企業間の良い関係と、ストーリー(企画)による。
経済危機においては、社会的ネットワークが労働機会より貴重である。
(コメント)
わが国にも、住民参加の仕組み、支援する行政組織の形は整備されつつある。ポートランド市の市民活動と我々の差は、文化の差と今までの彼らの活動の集積が「臨界質量に達した*」歴史の差と考えられる。
(注*)岡部一明 「ポートランド・モデル:市民参加と自治」